風柳メモ

ソフトウェア・プログラミング関連の覚書が中心

v6プラス関連の覚え書き

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furyu.hatenablog.com
がらみで調べたことなどをメモ書き。
あちこち間違っていると思われるので、識者の突っ込み歓迎。



フレッツ光ネクストの接続環境例

VNE(Virtual Network Enabler) 接続事業者のひとつであるJPNE(日本ネットワークイネイブラー株式会社)は、ISP向けに、NTT東西のフレッツ光ネクスト網(NGN)を利用するIPv6インターネット接続サービス及びv6プラス2014/07/01より提供している

これを使用した接続環境例を示す。

環境 1. IPv4 PPPoE 2. IPv6インターネット接続サービス 3. v6プラス
IPv6伝送方式 - IPv6 IPoE IPv6 IPoE
IPv6アドレス割当 - JPNEが保持するアドレスをNTT東西が割当 JPNEが保持するアドレスをNTT東西が割当
フレッツ・v6オプション加入
(NTT東西)
-
ホームゲートウェイ(HGW)によるMAP-E終端 - -
※IPv4 PPPoE関連機能は無効化される
IPv4伝送方式 IPv4 PPPoE IPv4 PPPoE IPv4 over IPv6(MAP-E)
IPv4アドレス管理 ISP
※エンドユーザ単位
ISP
※エンドユーザ単位
JPNE
※共有アドレス

なお、IPv6インターネット接続サービスおよびv6プラスは、BIGLOBE・@nifty等のISPからは、初期費用・利用料共に無料でエンドユーザ向けに提供されている。

1. IPv4 PPPoE接続時(IPv6インターネット接続サービス/v6プラス非加入時)

f:id:furyu-tei:20161007233703p:plain

  • グローバルIPv4アドレスはエンドユーザ(ルータ)毎に割当
  • ボトルネックがNGN~ISP間の相互接続点POI(Point Of Interface)にあり、ISPやサポート地域・時間帯等によって左右され、エンドユーザ毎のサービス品質に差異が出やすい
2. IPv6インターネット接続サービス加入時(BIGLOBE:『フレッツ光 IPv6接続』@nifty:『IPv6接続オプション』等)

f:id:furyu-tei:20161008001612p:plain

  • IPv4 に関しては、1. と同様の伝送形式(PPPoE)であり、同様のメリット/デメリットあり
  • IPv6関連の機能が、フレッツ・ジョイントにより HGW へと自動配信される
  • IPv4(ISP経由)とIPv6(JPNE経由)で経路は別
  • IPv6のグローバルアドレスは、PC等の端末単位で割当(HGWにはNGNよりDHCPv6-PDによりJPNEが所有するプレフィックスを持つIPv6アドレスが割り当たり、さらにHGWからのRAにより各端末にIPv6アドレスが割り当てられる(再分配))

3. の v6プラスと異なるのは IPv4 over IPv6接続関連のみであり、これは、HGWに対するMAP-E終端機能とIPv4関連機能の無効化が実施されるかどうかによると思われる。
実際、MAP-E(とDS-Lite)の終端機能があるバッファローのWi-Fiルータを使用する場合には、

※ BUFFALO製 WXR-1750DHP/WXR-1900DHP/WXR-1900DHP2/WXR-2533DHP/WXR-2533DHP2をご利用の方へ
本機器をご利用の場合は、「フレッツ光IPv6接続」をお申し込みいただくことで、v6プラスが利用できます。以下のサイトより手順通りにお申し込みください。
本ページでv6プラスのお申し込み手続きを行った場合、エラーメール(ErrorCode:E0009)が届き、v6プラス機能はご利用いただけません。

https://support.biglobe.ne.jp/ipv6/

という注意書きが見られる。
ただ、この推測が正しいとすると、HGWに設定されているIPv4 PPPoEの設定を手動でOFFにする必要がある気がするが、実際のところどうなのだろうか?

[2016/10/09追記]
考えてみると、ひかり電話に契約していない場合、そもそもHGWが無い場合が大半なのかな。
そうすると、ONUにサードパーティ製のMAP-E対応ルータを直結する形なので、

  • HGWそのものが存在しないため、v6プラス設定時のフレッツ・ジョイントによるHGWへの設定は失敗する(→エラーメールが返る)
  • 「IPv6インターネット接続サービス」の場合、MAP-E終端はサードパーティ製のMAP-E対応ルータが行うことで、結果的にv6プラス相当機能となる

ということなのかも知れない。
ただ、MAP-Eの場合には、CPE(ルータ)側でNAPTを実施するので、CPEに予めグローバルIPv4アドレス(共有)+NAPT利用可能なポート番号のセットを割り当てておく必要があると思うのだけれど、これをフレッツ・ジョイントでやっているとすると、つじつまが合わなくなってしまう……うーん、今一つよくわからない……。
→違った、NTT東西がNGNからJPNEの持つIPv6プレフィックスをDHCPv6-PDでCPEに割り当てるので、フレッツ・ジョイントは関係ないのか。このIPv6プレフィックスから、IPv4アドレス(共有)+NAPT利用可能なポート番号のセットを取り出していると考えると、つじつまが合いそうかな。

逆に、ひかり電話に契約している等してHGWを設置している場合、サードパーティ製ルータを使用していても、v6プラス設定時にエラーメールは返らないはず(ただしその場合、HGWの下にサードパーティ製ルータが設置されることになるので、MAP-E終端は HGW となるはずで、サードパーティ製ルータを MAP-E終端にする場合には、HGWのIPv4 over IPv6 IPoE機能を手動でオフにする必要があると思われる)。

3. v6プラス加入時

f:id:furyu-tei:20161010003322p:plain

  • IPv6 に関しては、2. と同様の伝送形式(IPoE)
  • IPv4 over IPv6接続(MAP-E)のために、HGWに対して自動的にMAP-E終端機能が配布され、またIPv4 PPPoE関連機能は無効化される(フレッツ・ジョイント機能による)
  • NGN~ISP間(POI)のボトルネックには左右されない

IPv4接続に関して、以下のような制限がある。
参考:BIGLOBE@nifty

■ 使用できないサービス
 ・ISPが提供するIP電話サービス(BIGLOBEフォン等)
 ・固定IPサービス

■ 制限のあるサービス
 ・IPv4グローバルアドレスを複数人で共有使用できないサービス
 ・特定プロトコル(PPTP,SCTP等)を使用するサービス
 ・特定ポート番号を使用するサービス(オンラインゲーム、サーバの公開など)

これらは主として

  • JPNE側グローバルIPv4アドレスを複数のエンドーユーザで共有
  • 利用可能なポート番号/数に制限

ことに伴う制限と考えられる。

[2016/10/09 追記]
v6プラスに加入すると、フレッツ・ジョイントにより、HGWに「IPv4設定(Setting IPv4)」というソフトウェアが配信される。
これは、HGWに対して

http://ntt.setup:8888/t

にアクセスすると表示される、「配信済み事業者ソフトウェア一覧」にて確認できる(参考:v6プラスの通信速度が振るわない件&PPPoEに簡単に切り替える方法 | 今日の気分はバリいくつ?)。

この設定内では、NAPTに使用される

  • HGWに割り当てられたIPv4グローバルアドレス(複数のエンドユーザで共有)
  • 利用可能ポート番号(Port-set:16ポート×15ブロックで、計240ポート)

が確認でき、この利用可能ポート番号の範囲であれば、静的NAPT設定も可能ではある。

トピックス

BIGLOBEの高速Wi-Fi × ギガ対応回線 プレミアムサービスに加入するメリットはあるか?
  1. 高速 Wi-Fi ルータ(NEC Aterm WG1810(JE)・無線LAN 1300Mbps(11ac/5MHz)・MAP-E機能搭載)レンタル
    「解約から1カ月を過ぎてもWi-Fiルータが返却されない場合、端末代金相当額として16,000円(税別)を請求」する旨記載あり
  2. ギガ対応・次世代ネットワーク接続
  3. 新しいメールアドレスの追加(希望者のみ)

で、月額800円(税別)(2016/10/3~2016/11/302016/12/01~2017/04/02の期間、最大2ヵ月分無料のキャンペーン中。ただし、無料期間中に解約したとしても、Wi-Fi-ルータ返却手数料1,300円(税別)は別途徴収されるので注意)。
……という内容の、BIGLOBEの高速Wi-Fi × ギガ対応回線 プレミアムサービス
フレッツ光 IPv6接続(無料)や、v6プラス(無料)との違いが気になるところ。

プレミアムサービスでは次世代のネットワーク(IPoE接続)をご利用いただきます。
(中略)
また、すでにギガ対応回線の方でも、混雑している一般道路(PPPoE接続)から混雑していない高速道路(IPoE接続)に切り替えるため、速くなるのです。
(中略)
動画サービスの広がりなどにより、インターネットに流れる通信量が爆発的に増加しています。日本のインターネット全体で現在よく使われているネットワーク(PPPoE接続)での混雑がより顕著になっており、特に通信量が増える22:30頃には通信速度が低下する地域が出てきています。

しかし、プレミアムサービスなら次世代ネットワーク(IPoE接続)により、地域や時間帯の影響が少なく、快適にネットができます。

高速Wi-Fi × ギガ対応回線 プレミアムサービス:BIGLOBE会員サポート

といった記述を見る限り、v6プラスとの違いがわからない。

ただ、

  • v6プラスをご利用中のお客さまは本サービスをお申し込みすることができません。v6プラスを解約後、お申し込みください。
高速Wi-Fi × ギガ対応回線 プレミアムサービス:BIGLOBE会員サポート

ということで、どうやらv6プラスとは排他的なサービスらしい。
また、v6プラスでは特に要求されない、Wi-Fi ルータ(MAP-E対応)のレンタルも気になる。

これはあくまで推測であるが、

『高速Wi-Fi × ギガ対応回線 プレミアムサービス』≒『IPv6インターネット接続サービス』(『フレッツ光 IPv6接続』相当)+『MAP-E対応 Wi-Fi ルータ』+『希望者への新メールアドレス提供』

のような感じになっているのではなかろうか。
上記「2. IPv6インターネット接続サービス加入時」参照。

NEC Aterm WG1810(JE)とスペック的に遜色の無いと思われるMAP-E対応ルータWXR-1750DHPであれば1万円強で手に入るようなので、無料の『フレッツ光 IPv6接続』に加入したうえでこれを使うようにすればほぼ同等の機能となり、かつ1年程で元が取れるような気もする。
あとの違いは、『希望者への新メールアドレス提供』のみなので。
さて、真相は如何に……?

【2016/10/08 追記】
BIGLOBEの『高速Wi-Fi × ギガ対応回線 プレミアムサービス』と同じようなサービスが、GMOとくとくBBでも提供されていた。
gmobb.jp
こちらは堂々と『v6プラス』としての提供で、「v6プラス」+「Wi-Fiルーターレンタルサービス」がサービス内容。
Wi-Fiルータはまさに、WXR-1750DHPである。
月額991円(税抜)フレッツ光の回線利用料は別に発生)。

ただし、BIGLOBE の場合は、もともとの契約(ビッグローブ光等)に加えて上記の値段が必要なので、それを考えると、GMOとくとくBBの方が新規で契約する分にはお得、なのかも知れない。

なお、GMOとくとくBBの方では、速度の公開もされている
これは、速度測定システム Radish Network Speed Testing Ver. 5.2.2.4 βで実測されたデータの平均値らしい。
ちなみに、試しに自分の環境(BIGLOBE光ネクスト+v6プラス)で測定してみると、

===== Radish Network Speed Testing Ver.4.0.4β - Test Report =====
測定条件
 精度:高 データタイプ:圧縮効率低
下り回線
 速度:289.8Mbps (36.23MByte/sec) 測定品質:91.6 接続数:2
上り回線
 速度:355.1Mbps (44.39MByte/sec) 測定品質:95.6 接続数:3
測定者ホスト:*************.v*.enabler.ne.jp
測定時刻:2016/10/8(Sat) 8:49
==================================================================

こんな感じである。
マルチセッションで測定されることもあり、比較的高めの速度が出ている。

[2016/10/15 追記] v6プラスのIPv4アドレス/ポートセット割り当て方法の推測

IPv6インターネット接続サービス/v6プラス加入時に、ホームゲートウェイ(HGW・ひかり電話ルータ)やv6プラス対応ルータに対して、DHCPv6-PDにより通知されるIPv6プレフィックス(/56)は、現状以下のような構成になっている模様。

240b:XXXX:QQRR:SS00::/56
 240b:XXXX::/32 → IPv4プレフィックス(アドレス上位16ビット)へのマッピング
 QQRR → IPv4アドレス下位16ビット
 SS → ポートセットID

なお、このマッピングルールは、ひかり電話ルータに割り当てられている情報やネット上の情報等から推測したものであり、実際には、JPNEが用意するマップ配信サーバとHGWとの通信によって配信されることに注意。
ここに記述したものだけだと、IPv4アドレスは最大でも6*256*256=393,216個。IPv4アドレス辺りのポートセットが256であるため、約1000万ユーザーにしか対応できないが、マップ配信サーバから配信されるルールを変更することで拡張していくものだと思われる。
マップ配信サーバ~HGW/ルータ間のマップ配信手順の仕様は見つけられなかった(非公開?)。

■ IPv6プレフィックス→IPv4プレフィックスマッピング(例)

IPv6プレフィックス IPv4プレフィックス
240b:0012::/32 14.8.0.0/16
240b:0013::/32 14.9.0.0/16
240b:0250::/32 14.10.0.0/16
240b:0251::/32 14.11.0.0/16
240b:0252::/32 14.12.0.0/16
240b:0253::/32 14.13.0.0/16

■ ポートセットIDによる利用可能ポート割当(例)
現状、

  • 1ポートセットあたりの利用可能ポートは 240 個
  • 1つのIPv4アドレスを、256ユーザで共有(61440個(4096~65535)のポート番号→ 61440/240 = 256)

となるように割り当てられている模様。

ポートセットIDを SS とすると、利用可能ポート範囲は、

mSSn (16進数)
  SS: 00~FF
  m: 1~F
  n: 0~F

で表される。

例えば、SS = 00 の場合、

16進 1000-100F 2000-200F 3000-300F 4000-400F 5000-500F
10進 4096-4111 8192-8207 12288-12303 16384-16399 20480-20495
16進 6000-600F 7000-700F 8000-800F 9000-900F A000-A00F
10進 24576-24591 28672-28687 32768-32783 36864-36879 40960-40975
16進 B000-B00F C000-C00F D000-D00F E000-E00F F000-F00F
10進 45056-45071 49152-49167 53248-53263 57344-57359 61440-61455

となる。

◆ 参考

関連

IPv6 IPoE サービス提供 VNE 接続事業者

国内において、JPNEと同等のVNE接続事業者としては、他にBBIX株式会社インターネットマルチフィード株式会社があり、それぞれがIPv6 IPoEを用いたIPv6インターネット接続サービスを ISP 向けに提供している。以下に簡単にまとめる。

VNE接続事業者 日本ネットワークイネイブラー(JPNE) BBIX インターネットマルチフィード
IPv6サービス名 v6プラス IPv6 IPoE + IPv4 ハイブリッドサービス transix
IPv4 over IPv6 技術 MAP-E 4rd/SAM DS-Lite
専用ルータ要否 基本不要
NTT東西のHGWを使用していれば自動更新で対応可能
※ひかり電話未加入かつHGWもない(ONU/VDSLのみの)場合、対応ルータが必要

BBIX(ソフトバンク)より専用ルータ(光BBユニット)提供

対応ルータをエンドユーザが用意
ポート開放
(静的NAPT)
×?
割り当てられた範囲のポートであれば開放可能かも?
○? ×
ISP例 BIGLOBE、@nifty、その他 ソフトバンク・Yahoo! BB 光 with フレッツ IIJmio:FiberAccess/NF